プロダクトの行動を分析して改善につなげる『顧客ライフサイクル』を管理する方法

WebサービスがProduct/Market Fitをめざす上で取り組むことのひとつが、ユーザを獲得して定着させ、収益につなげる一連のサイクルを最大化することです。ではどうやって最大化すればいいのでしょうか。

この『ユーザの獲得から収益までの一連の流れ』は顧客ライフサイクルというフレームワークで整理できます。顧客ライフサイクルを用いることでサイクルの最大化に取り組むことができます。

この記事では、顧客ライフサイクルとはなにか、目的やAARRRモデルを用いた分析方法について書いていきます。

顧客ライフサイクルとは

顧客ライフサイクルとは、ユーザの行動を整理・分析してプロダクトの成長につなげるためのフレームワークです。

ユーザがプロダクトを認知してから収益化するまでのプロセスを行動別に整理し、数値を計測することで改善に繋げます。

この顧客ライフサイクルを定義する上で役立つ代表的なフレームワークにAARRRモデルがあります。

AARRRモデル

AARRRモデル

AARRRモデルはユーザの行動を5つのステップで整理・分析するためのフレームワークです。500 Startupsのデイブ・マクルーア氏によって提唱されました。次の5つのステップであらわします。

順番 頭文字 ステップ 意味
1 A Acquisition 獲得
2 A Activation 活性化
3 R Retention 継続
4 R Referral 紹介
5 R Revenue 収益

これらの行動を計測し、弱みを補うための施策をとることでプロダクト全体の改善につなげるのがAARRRモデルの目的です。

顧客ライフサイクルの例

ここでひとつ顧客ライフサイクルの例を見てみます。本サイトは技術記事を書いていますが、技術メディアとしてとらえると次のように整理できます。

ステップ 行動 KPI
Acquisition コンテンツの閲覧 ページビュー数
Activation コンテンツの消費 平均滞在時間
Retention 著者のフォロー Twitterのフォロワー数
Referral シェア シェア数
Revenue 広告のクリック 広告のコンバージョン数

この結果、最終的な広告のコンバージョン数を高めるために、各ステップの数値を改善するための取り組みを行えばよい、ということが見えてきます。

顧客ライフサイクルを定義する目的

顧客ライフサイクルは、ユーザを獲得してから収益化するまでの効率を最大化するために定義します。

たとえばいくらAcquisitionに力を入れても、ActivationやRetentionの数値がわるければ収益につながりません。ActivationやRetentionを改善した上でAcquisitionに注力することで、収益を最大化できるのです。

各ステップの穴をなくし、獲得したユーザをもれなく収益につなげることを目的として顧客ライフサイクルを定義します。

顧客ライフサイクルの定義方法

では顧客ライフサイクルを定義する方法について書きます。これはつまりユーザの行動がAARRRのどれに該当するかを考えます。

ここで、本サイトの別の記事で、グロースサイクルについて次のように書きました。

グロースサイクルとは、プロダクトのユーザ体験や集客、収益などプロダクト全体の成長を定義した循環モデルのことをいいます。

つまり、顧客ライフサイクルはグロースサイクルと大きく関連していることがわかります。

たとえば本サイトの顧客ライフサイクルの例では『Acquisition=コンテンツの閲覧』としました。これはグロースサイクルでいうと『読者がふえる』に該当します。

グロースサイクル

顧客ライフサイクルを定義するには、まずグロースサイクルを定義します。これをもとに定義することで効果的な顧客ライフサイクルとすることができます。

注意点

顧客ライフサイクルを定義する上で注意すべきことがあります。それは、それぞれの指標がプロダクトの本質に反していないか?という点です。

たとえば本サイトであれば、ページビューをふやすために記事を複数ページに分割することは、数値上は改善するかもしれません。ただ、追求すべきユーザ体験はわるくなるでしょう。

顧客ライフサイクルの活用方法

顧客ライフサイクルを定義したら、計測すべき数値をKPIとして設定して計測します。こうするとプロダクトの弱みが見えてくるので、そこを改善するための機能開発や施策を行います。

注意点

AARRRを改善するときは、上から順に、つまりAcquisitionから改善してはいけません。これはActivationやRetentionが弱い状態でユーザを獲得してもすぐ離脱されてしまうからです。

まずActivationやRetentionに注力し、ユーザの定着が行われた状態でAcquisitionの改善に取り組みます。

いつ顧客ライフサイクルを定義するか

顧客ライフサイクルは、MVPの検証が終わったあと、実際のプロダクト開発に入るまでに行います。

上で書いたように、顧客ライフサイクルは計測しないと意味がありません。開発のはやい段階で定義を完了させ、計測の仕組みを取り入れるようにします。

まとめ

顧客ライフサイクルは、ユーザの認知から収益化を整理・分析するためのフレームワークで、代表的なものにAARRRモデルがあります。

プロダクトをAARRRモデルにしたがって整理・計測することで、プロダクトの弱みが明らかになり、ユーザの獲得から収益化までの流れを最大化することができます。

Hiroki Zenigami

Webサービスとアプリづくりが趣味。 ふだんは会社員をしつつ、副業でWebサービスを運営。 プロダクト開発や転職、副業を中心に書きます。

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